今回は、音楽家のなかでも最も人数の多いとされている演奏家の収入、支出についてご紹介したいと思います。
演奏家とは?
楽器を演奏する器楽、声で歌う声楽、指揮者も演奏家です。
クラブやハウスミュージックでのDJは、リアルタイムで操作を行うのであれば演奏家ですね。
あらかじめ製作しておき音源を流すだけの場合は、演奏家というよりも作曲家や編曲家に分類されます。
演奏家の具体的な収入源
では、演奏家はどのようにお金を稼ぐことが出来るのでしょうか。
自主公演
名前の通り、自分または自分を含むグループで演奏会やライブを企画、運営、本番まで行います。
収入
チケット代
グッズ代
広告掲載費(スポンサー)
寄付・・・など
支出
楽器代
楽譜代
著作権使用料
ホール(スタジオ)代
レンタル楽器・機材使用料
人件費(公演スタッフ)
外注費(音響、証明、映像他)
当日の食費
当日の交通費(楽器輸送費を含む)
本番までの(自分の)練習時間に関わる時給換算・・・など
以上、収入から支出を差し引いた額が、利益になります。
主な収入源であるチケット代は、ホール(スタジオ)の広さ(キャパシティ)によって限界があり、広くすればするほどホール代が高額になり、またそれに伴ってチケット販売が大変になります。
大きいホールで公演を行うのも良いですが、あえて小さめのホールで、同じ日に時間をずらし、同じプログラム(曲目)を数回に渡って公演を行うのも作戦の一つです。
主な演奏形式
・ソロリサイタル
・自分で運営するグループ団体の演奏会
依頼公演
例えば、法人や行政などからの依頼でまとまった金額を受け取り、依頼内容に沿った演奏会(ライブ)を行うことです。
ここでは、依頼演奏(エキストラ)とは分けて考えます。
基本的には自主公演に近いようなイメージで構いませんが、
広告掲載費(スポンサー)からの収入が大部分を占めるため、公演内容についての注文をしっかり確認しましょう。
依頼演奏(エキストラ)
他者の演奏会(ライブ)に呼ばれて、演奏することです。
大きくはエキストラなどの言葉として使用されます。
例えば、オーケストラの本番で人手不足やその楽器を演奏することが出来ないため、エキストラが呼ばれたりしますね。
収入
出演料
(交通費)
(食費)
支出
楽器代
交通費
食費
自分の練習や本番に関わる時給計算
出演料の計算は、
練習@10,000円x3回、本番@20,000円x1回
合計50,000円でいかがでしょうか?などのような頼み方をされる場合が多いです。
出演料として支払われる金額はざっくりとした計算が多く、自分の支出額をしっかりと計算しておかないと大変なことになってしまう場合があります。
例えば・・・
練習1回10,000円、8時間の練習(拘束)時間
時給換算すると1,250円になりますが、
練習場所までの交通費が片道1,000円x2回(1往復)になると、
練習時間の時給は1,000円になります。
更に、自宅から練習場所まで片道1時間の移動時間を要する場合、
練習出演料10,000円-往復交通費2,000円/練習時間8時間+往復移動2時間
時給換算すると、なんと800円になってしまいます。
また練習が8時間ともなると食費も必要になり、使用する楽器の消耗品代も含めて計上すると、もう少し安くなってしまいます。
クラシック音楽業界ではよく言われるのですが、
<div class=”simple-box8″><p>エキストラは呼んでもらえるだけありがたい話。
自分のための経験や勉強のつもりで損して徳を取れ。</p></div>
などと言われますが、一度その金額で受けてしまうと、次回呼んでもらえなくなることを恐れ、なかなか値上げすることが出来なくなってしまいます。
出演料については、交通費と食費など含まれない場合も多いため、単純に金額だけで判断せず、どこの場所で、どれくらいの拘束時間があるのかしっかり検討のうえ、仕事を選択できる知識を得てください。
そうすることで、自分だけでなく、音楽業界全体の流れをよくしていかないと、業界としての将来が無くなってしまうことでしょう。
YouTubeなどのSNS系配信
ホールやライブハウスなど演奏は、本物の楽器を自分の耳で聞くため、その場所の勢いや熱気などを味わい、音楽を楽しむことができます。
しかし、その場所にたどり着くためには、出演者と観客のスケジュールが合致し、またその場所まで観客に「お越しいただく」必要があります。
両者のスケジュールが合わないことも考慮すると、SNS系や動画配信サービス等で有料の公演を行うためのシステムを考えることも仕事の一つでしょう。
生音には叶わないからという言い訳は、演奏家として生計を立てるための手段(チャンス)を逃すことになります。
また、昨今の新型コロナウイルスの影響により、音楽を演奏する場所の防音環境は、密閉を伴い非常にリスクが高い可能性とされています。
コロナが落ち着くまで我慢などと考えている人は、これからの時代生きていけません。
なんでも挑戦してください。
失敗しても、それは経験値となり、他のことにも必ず活かされます。
音楽隊などの公務員
私はこれを経験しましたので詳しく解説することもできますが、ここでは簡単に解説させていただきます。
自衛官(自衛隊)や警察官、消防官などといった公務員の一部に音楽隊があり、基本的には公務員試験と音楽隊の演奏試験の両方を合格して採用されます。
試験は、ほぼ同時期に行われます。
内情の優先順位として、公務員試験に合格していた人のみ、音楽隊の演奏試験を査定してもらえます。
たとえ演奏試験が超一流の完璧であっても、公務員試験に受かっていなければ無評価です。
仕事内容としては、音楽隊としての演奏のみでよいこともあれば、普段は自衛官、警察官、消防官として勤務し、行事などに合わせて音楽隊として演奏などの勤務をすることもあります。
ちなみに、公務員試験に合格し、演奏試験に落ちてしまった場合は、音楽隊ではなく公務員として働きませんか?などという誘われることもあるため、興味ある人は受けてみることも良い経験になります。
また、公務員のメリットは、悪いことや法律違反をしなければ、基本的に定年まで解雇されません。
極端な話、演奏のクオリティが低くても、公務員としての地位は守られます。
(あまりにもひどい場合は、演奏から外され、音楽隊の司会、庶務、雑務などに異動する場合があるそうです。)
そのため、専門家から見た演奏のクオリティは、あまり高くないこと感じられる場合もしばしばあります。
プロ演奏団体・事務所所属
クラシックではプロのオーケストラや吹奏楽団、ポップスでは音楽事務所やレーベル所属などです。
基本的には、所属組織から給料を得て生活します。
ポップス系の知識はありませんが、クラシック系にいたっては、基本的に給料がとても低く、これだけで生活するのは厳しいです。
プロ団体に所属しているという肩書きを利用して、自主公演を行なったり、仕事を受けたりすることで更に有名になり、コネクションを増やし、自分というブランド力を上げている人もたくさんいます。
なお、これらは一般企業(行政法人もあり)のため、演奏のクオリティによっては解雇される場合もありますので、採用されたからといって絶対に油断してはいけません。
演奏音源販売
自分の演奏を記録媒体に残し販売した収入を得る方法です。
以前はCDやDVDなどの売り上げで収入を得ることもできましたが、若い人たちはCDやDVDプレイヤーを持っていない人も多いです。
私の自宅のパソコン環境は、Mac miniとMacBook Airで、気がつけばディスクを読み取るドライブが無くなっていました。
ポップス音楽は、グッズや握手券といった物・権利を付けて売る手法が目立ちます。
しかし、演奏者(歌手・バンド)として音楽で勝負しない姿勢はどうなのかと疑問を感じます。
(商売の仕方・考え方としては尊敬します。)
データとして保存し、音楽配信系サービスに委託販売する方法もあります。
定額配信が主流となり、個別に買ってもらうのは非常に難しいでしょう・・・。
都会と地方の演奏家
近年の音楽事情としては、急な予定や仕事が入る可能性があるがため、前売りチケットを買い控える人も増えてきて、当日行けたら行くといった飲み会みたいなことも多く、本当に人気のある人や団体しかチケットが売れない状態が続いています。
北海道のような田舎では、この演奏会(ライブ)を逃すと代わりの演奏会が無いため、前売りチケットがよく売れ、当日は無理をしてでも見にくる観客が多いです。
集客率が高く、利益率も高い。
反面、東京都のような大都市では、この演奏会を逃しても、似たような演奏会があるだろうという考えの人が多く、無理をして演奏会に行こうとする観客は非常に少ないです。
集客率が低く、利益率も低い。
若いうちは、都会でさまざまな演奏会やイベントに顔を出し、実際に自分の耳と目で感じ、自分の経験として蓄えられたら、地方を拠点に活動することも作戦の一つだと考えます。
私自身、東京での生活が嫌になっていたことと、家族の介護について考える機会があったため、地元北海道へ移住すること決意しました。
都会で失敗したから田舎に帰るではなく、
都会で勉強し終わったから田舎で貢献するという気持ちを強く持ってください。
まとめ
今回は、演奏家としての収入の得かたを大まかにご紹介しました。
ここに記載以外の方法があれば、ぜひ試して自分だけのアイディアにしてください。
最後までご覧いただきましてありがとうございました。
管理人:ゆう