音楽

【元音楽家が伝える】音楽で食べていく方法【Part.1〜音楽家の仕事と種類について】

日本にはポップスやクラシックなど、音楽に関する学校がたくさんあり、また毎年たくさんの学生が入学し、卒業しております。

私もクラシック分野に特化した音楽学校を卒業した一人です。

しかし、音楽家として成功し、生活を送られている人は極少数なのか現実です。

今回からの記事では、実際に私がプロの音楽家として活動していた経験から、音楽家としての収入や生活方法について、出来るだけ詳しくご紹介していきたいと思います。

生活の仕方を知らない人がほとんど

そもそも、なぜ音楽家として成功することが出来ない人が多いのでしょうか。

楽器の演奏が下手だから?
いいえ違います。

楽器の演奏が上手でもプロになれず、その逆で下手でもプロとして活動している人はいます。

以前、音楽大学の授業内で、学生に以下のような質問をしたことがあります。

筆者
筆者
Aさん。あなたは音楽家としてプロを目指していますか?
学生A
学生A
はい!
私は、プロオーケストラに入団もしくはフリーとして、プロの楽器演奏家になりたいです。
筆者
筆者
では、演奏家はどのように収入を得て生計を立てることが出来ますか?
学生A
学生A
そうですね・・・プロオーケストラは給料で、フリーの場合は演奏による謝礼金とかでしょうか?
筆者
筆者
では、実家からの仕送りや貯金に頼らないとして、毎月おおよそいくらの収入(給料)があれば生活することが出来ますか?
学生A
学生A
えっと・・・家賃が◯万円、食費が◯万円、水道光熱費が◯万円で・・・正直深く考えたことがありません。

ここまで答えられた学生は優秀なくらいです。
ほとんどの学生は、2つ目の質問で答えられなくなっているのが現状でした。

一体なぜでしょうか?

それは、音楽学校では楽器演奏、音楽理論、言語などを中心に学習させ、授業内では卒業後についてほとんど何もを教えていないからです。

再び考えます。それはなぜでしょうか?

それは、文部科学省が指定した学習指導要領の範囲外だからです。

 

はっきりと書きます。

音楽に詳しくて、楽器が上手なだけでは、プロの音楽家として生活することが出来ません!

プロの定義について

いろんな考え方があると思いますが、ここではその分野で収入を得て生活している人がプロと定義しておきます。

例)毎月の出費が15万円で収入の合計が20万円の人
収入内訳:作曲10万円、演奏5万円、飲食店アルバイト5万円

作曲と演奏で生活することが出来ているためプロの音楽家ですね。
ただ、作曲または演奏のみでは生活することが出来ないため、プロの作曲家プロの演奏家ではないと判断します。
この言葉はあまり好きではありませんが、強いて言えばどちらもセミプロでしょうか。

仮に、作曲の収入が5万円になった場合作曲と演奏だけでは生活することが出来ないためプロの音楽家ではないとします。

少し極端な例ですが、音楽家としての人生設計を真剣に考えている人のために、はっきりと明確に定義させていただきます。

音楽学校について

一般的には高校を卒業後、音楽科のプロを目指すために音楽系学校を進学する人が多いです。
一部の地域では音楽科の高校もありますが、ほとんどは高校生が進路に合わせて考え始めることでしょう。

音楽といってもジャンルは多岐に渡るため、ここでは音楽系学校の進学先である3種類の学校についてご紹介したいと思います。

音楽大学(4年制)

クラシック音楽を専攻する学生が多く進学しますが、近年ではポップス音楽を専門的に取り扱う学校も増えてきてます。
選択科目の履修によって下記の国家資格などを取得することが出来ます。

小学校教諭一種免許状
中学校教諭一種免許状(音楽科)
高等学校教諭一種免許状(音楽科)

幼稚園教諭免許状
養護教諭免許状
特別支援学校教諭免許状・・・など

学歴としては、学士を取得できます。

卒業後は、大学院に進学も可能です。

音楽短期大学(2年制)

こちらも音楽大学同様、クラシック音楽を専攻する学生が多く進学しますが、近年ではポピュラー音楽(以下ポップス音楽)を専門的に取り扱う学校も増えてきてます。
選択科目の履修によって下記の国家資格などを取得することが出来ます。

小学校教諭二種免許状
中学校教諭二種免許状(音楽科)
高等学校教諭二種免許状(音楽科)

幼稚園教諭免許状
養護教諭免許状
特別支援学校教諭免許状・・・など

学歴としては、短期大学士を取得できます。

卒業後は、大学3年に編入することも可能です。

専門学校(2〜4年制)

バンドミュージックや弾き語りといったポップス音楽、また音響系に関するため専攻する学生が進学しますが、一部クラシック音楽を専門的に取り扱う学校もございます。

選択科目の履修によって下記の国家資格などを取得することが出来ます。

舞台機構調整技能士・・・など

学歴としては、専門士(2年制)または高度専門士(4年制)を取得できます。
※専門士は短大、高度専門士は大学卒業と近い条件に評価されることがあります。

卒業後は、大学大学院編入が可能な場合もあります。
※編入希望先へ必ず確認してください。

補足と注意(※重要

音楽系学校を卒業したところで、残念ながら演奏に関する国家資格というものは一切ありません
民間企業による資格(リトミック指導員や音楽療法士など)はありますので、就職活動の面接でしっかり内容を伝えることが出来れば、採用の手助けになる可能性もありますが、演奏家を目指す人には全く必要ないと言えます。完全実力主義の世界です。

また専門学校には、楽器店や一般企業が運営を行なっており、文科省や都道府県の認可を受けておらず(受けられず)履歴書の学歴に記載することができない学校が多数存在します。
それはつまり、4年間高い学費を払って卒業したとしても、一般企業では「高卒」と同じ待遇になってしまい、大卒以上の企業の採用面接受けることが出来ません。

学校法人の名前が付いている学校でしたら大丈夫です。

例)学校法人ミュージックスクール専門学校(仮名)

音楽系専門学校を卒業後、一般企業に務めることも想定している人は、学校法人の名前が付いた専門学校に進学することを強く推奨します。

ちなみに、4年制の専門学校を卒業して自衛官(自衛隊)に受かった私の友人がいますが、その学校が「学校法人」でないことを知らず、卒業直前にして高卒と同じ扱いになると知った人がいました。
※公務員(自衛隊)では、高卒、短大卒、大卒で初任給や昇給、また昇進などの査定に差があります。

<div class=”concept-box1″><p>学校法人の名前を忘れずに!</p></div>

音楽家としての主な収入源

では、具体的に音楽家はどのような手段によって収入を得ることが出来るのでしょうか。
大きく6つのパターン簡単に記載しました。
※それぞれの項目は、別途記事ページを作成します。

演奏家

多くの人がこれを目指すため、音楽学校ほとんどは演奏専攻に募集定員を設定してます。

ピアノ奏者(ピアニスト)
ヴァイオリン奏者(ヴァイオリニスト)
ギター奏者(ギタリスト)
ベース奏者(ベーシスト)
ドラム奏者(ドラマー)
フルート奏者(フルーティスト)
トランペット奏者(トランペッター)
パーカッション奏者(パーカッショニスト)
指揮者・・・など

自主公演や依頼公演、客演(エキストラ)等で演奏の対価として収入を得る人のことです。

作曲家・編曲家

これは見たままの職業ですね。

作曲家は、自分で一から作品(楽曲)を仕上げ販売した利益を収入とする人
編曲家は、他人の書いたメロディーにコード(和音)や伴奏を付けた対価として収入を得る人のことです。

指導者

教師や講師、先生などがこれに分類されます。

他者に音楽を教えることで、その対価として報酬を得る人のことです。

公務員

小中高校教師(先生)
警察・消防・自衛隊音楽隊
一部のプロ演奏団体・・・など

前述の項目に分類されるが、国や都道府県、地方公共団体などから認められ税金から給料(報酬)を得る人のことです。

音響・舞台・音楽事務所関係(※)

音楽家としては離れるかと思いますが、これらの職業の力が無ければ演奏家は成り立たない場面が多く、尊敬の意を込めて、ここで紹介させていただきます。

音響(PA)
照明(ライト)
映像(ムービー)
舞台(ステージマネージャー)
監督・・・など

楽器メーカー・販売店(※)

接客や営業のために楽器を演奏しなければならないこともありますが、これは音楽家ではないでしょう。
しかし、こちらも音楽家にとってなくてはならない存在のため、念のためここで紹介します。

楽器メーカー会社の社員
楽器販売店の店員・・・など

仕事と生活の両立について考える

音楽家は、四六時中音楽のことを考えている人が多いです。

演奏家や指導者は形に残りにくいサービス業のため、行動を止めてしまうと忘れられる危険が常に伴い、その時点で自分という価値や評価を失って(忘れられて)しまい、その結果、収入が無くなり生活が出来なくなってしまいます。

しかし、好きなカレーを3日間食べ続けると飽きる人が多いように、いくら好きで始めたことだからといって、音楽だけしか考えないことはオススメしません。

例えば、演奏旅行のような慣れ親しんだ土地を離れ、遠征による演奏を行う場合は、練習やリハーサルばかりではなく、その地域の観光や食事を楽しむことも含めて行動することで、リフレッシュしながら新たな考え方の発見など、見聞を広めることも芸術家として必要な要素の一つです。

好きなことが嫌いになってしまうことは非常に残念で悲しいことです。
私の周りにも、演奏家として活動していたのに、音楽が嫌になってしまったことで引退し、気がつけば趣味や好きなことが何も無くなってしまった人たちを多く見てきました。

音楽以外の趣味を見つける

前述からの続きです。

音楽家のほとんどは、音楽が好きで始める人が多いです。
趣味や好きなことで生活を出来ることは凄いと思います。

それと同時に、私がよく感じていることがあります。

好きなことは毎日 play しないから好きである。

好きなことのために、仕事やつらいこと、嫌なことを頑張れます。
好きなことだけを毎日続け、好き続けられるのは本当に大変で、それは努力の結果です。

好きなことを仕事にすると、それは好きなことではなく仕事である。

趣味が仕事になった場合、その分野の専門家になると同時に、それが趣味ではなくなります。
観光、食事、写真、ドライブ、ブログ、SNS・・・なんでもいいです。
仕事を頑張るためにも、息抜きのための趣味を作ることをオススメします。

日本の義務教育は大問題

話は逸れます。

日本の義務教育は素晴らしいと思いますが、教えるべきことが足りなすぎます。

・道路交通法
免許の要らない自転車も軽車両で道路交通法が適用され、違反すると罰金や罰則がある。

・ITリテラシー
今や小学生もスマートフォンを持ち、子供ですらインターネット接続が当たり前の時代。
面白半分の悪ふざけバカッター(ツイッター)では、訴えられ損害賠償請求に繋がる可能性もある。

・確定申告
詳しい手続き方法までとは言いませんが、源泉徴収とは何か、市民税は翌年から発生、社会保険(年金・健康保険)などは最低でも指導すべき。

プロの音楽家を目指すために、フリーランス(=フリーター)になる人もたくさんいますが、特に3番目の確定申告の仕組みを知らず、大きく損をしている(得する方法を知らない)人が大勢いるのが大問題です。(音楽家だけに限った話ではありませんが・・・。)

フリーランスの確定申告についても記事にしたいと準備しておりますが、詳しく知りたいことがあればコメントなどでお問い合わせいただければ、それも含めてご紹介いたします。

まとめ

今回は、プロの音楽家としての収入と生活について、大まかな概要のみをご紹介しました。

次回以降は、各音楽家ごと具体的な収入源などについて記事にしていきたいと思います。

最後までご覧いただきましてありがとうございました。

管理人:ゆう

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ゆう@管理人
都会の生活に疑問を覚え、北海道へ移住(Uターン)した元音楽演奏家のブログです。 大好きな北海道の写真や情報を中心とした記事や、音楽家になるための関する情報、また趣味などの雑記を記事にしていきます。 何かご不明な点がございましたらお問い合わせいただけますと嬉しいです。

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